• 10月 11, 2024

痛風・高尿酸血症の最近の進歩2

痛風・高尿酸血症に関して、前回はやや専門的に記載しましたので今回は実際上のことに関して記載します。
高尿酸血症に関してまずすべきことを記載します。
①水分摂取励行
水分を摂取することでかなり尿酸値を下げることができるため、まず取り組むべきです。
②プリン体の摂取減
プリン体から尿酸が体内でできるため、ビールなどは控えましょう。また、レバー、魚の干物、白子などもプリン体が多く、控えめにすべきです。
③アルコールの摂取減
アルコールは、それ自体の分解の際に尿酸を産生し、尿中尿酸排泄を阻害する働きもあるため、血清尿酸値が上昇することが多くなります。このため、プリン体を含まない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒の飲酒でも血清尿酸値が上昇するため、お酒はすべて控えめにすべきです。
④適度な運動
散歩などの適度な運動は尿酸値の改善に効果的です。過度の運動は筋肉細胞を痛め、逆に高尿酸血症になることがあり、控えてください。週3回程度の散歩などの有酸素運動がおすすめです。
⑤減量
肥満ではインスリン抵抗性となり、血中のインスリンが増加し、高尿酸血症になりやすくなります。減量が望ましいです。ただし、急激な減量は高尿酸血症になることがあり、避けるべきです。

痛風について
痛風は関節内の尿酸塩結晶が原因であり、根本的な治療としてはこの尿酸塩結晶を溶かしてなくならせることです。そのためには、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目標とします。一度、その値を達成するだけでは、尿酸塩結晶を溶かしてなくすことはできません。血清尿酸値6.0mg/dL以下を1年間から2年間維持することで関節内の尿酸塩結晶がなくなります。そうすると、痛風発作を起こすことはなくなります。

痛風に関しては関節内の尿酸塩結晶が溶けてはがれるときに痛み・炎症を引き起こすとされています。ですので、高尿酸血症の薬をはじめると、あらかじめできていた尿酸塩結晶が解けて痛風発作を起こすことがあります。また、痛風発作で痛みがある時に尿酸降下薬をはじめないのはそのためです。急激に血清尿酸値を低下させると痛風発作を誘発してしまう恐れがあるため、通常2ヶ月間程かけて徐々に血清尿酸値を低下させ治療目標値に達するのが理想です。
最近、発売されたユリスは尿中への尿酸排泄を増加させる薬で血清尿酸値を低下させる効果が強く、血清尿酸値6.0mg/dL以下を目指すことがこれまで難しかった場合にも期待できます。肥満などメタボリック症候群の方はインスリン抵抗性から尿中への尿酸排泄が低下していることが多く、病態生理学的にも望ましい薬といえます。尿酸塩結晶による腎結石や尿管結石がない方には積極的に処方するようにしています。
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