皮膚科で扱う主な疾患
湿疹、ニキビ、タコ、蕁麻疹、水虫、かぶれ、帯状疱疹、脂漏性湿疹、円形脱毛症 など
湿疹
湿疹は、何らかの原因によって皮膚に炎症がおきる状態のことで、皮膚科を受診される患者さまに、最も多く見られる症状です。盛り上がったブツブツやかゆみのある赤みなどが生じます。患部を掻きむしったりすると、水ぶくれやじゅくじゅくになり、化膿したりかさぶたが生じたりします。早めに治療することで多くの場合は改善しますが、治療せずに炎症が長引くと皮膚が乾燥してザラザラの状態になり色素沈着が起こる場合もあります。掻くことによってかゆみ物質が知覚神経を刺激し、かゆみの症状が強くなります。こうした悪循環に陥らないためにも、早めの治療が大切です。
湿疹の原因は様々で、ハウスダスト、花粉、ダニ、薬剤などの外的要因や、アトピー素因、全身疾患、年齢などの内的要因が絡み合って生じると考えられています。そのため、塗り薬や飲み薬以外にも生活習慣や環境の見直しが必要なこともあります。
ニキビ
ニキビは皮脂の過剰な分泌により毛穴が詰まり、内部にアクネ菌が増殖して炎症を引き起こすことで生じます。毛穴に溜まった皮脂を栄養源にして、ニキビの元となるアクネ菌が増殖し、赤く腫れたり膿をもった袋が生じたりします。特に思春期はホルモンやストレスなどの影響により過剰な皮脂が分泌されるためにニキビができやすくなります。炎症のあるニキビをそのままにしてしまうと周囲の組織がダメージを受け、色素沈着や凸凹としたニキビ跡が残ることがあります。思春期の時期の見られることが多いですが、大人になってから悪化する場合もあり、ホルモンバランスの乱れ、不規則な生活、睡眠不足、紫外線、ストレスなどが複雑に絡み合ってできることが多くなかなか治りにくいのが特徴です。治療は毛穴の詰まりを取り除く外用薬や細菌を減らすための抗菌薬などの内服薬を必要に応じて使用します。適切なスキンケアや生活習慣の改善も大切です。炎症のあるニキビが落ち着くのには少し時間がかかるため、長い目で見た継続的な治療が大切です。
タコ(胼胝)、ウオノメ(鶏眼)
タコは、慢性的に物理的な刺激を受け続けることで角質がどんどん肥厚し硬くなってできる症状です。足の裏、足の指、くるぶしに生じることが多いですが、ペンだこや座りだこなどのように生活習慣や癖などによってできる部位や形状は様々です。タコは痛みはないことが多いですが、痛みがある場合はタコの下に傷や細菌感染がある可能性が高く早めの治療が不可欠です。ウオノメもタコと同様に角質肥厚が生じますが、角質が皮膚の深い方向へ入り込むように増殖するため圧迫すると強い痛みを伴うことが特徴です。治療は、角質を柔らかくする外用薬を用いたり、硬い部分を削る処置を行います。またタコの原因となる物理的刺激をできるだけ取り除くような対策(靴の中敷きや歩き方の改善など)も必要な場合があります。
蕁麻疹
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水虫
水虫は、白癬菌という真菌によって生じる感染症です。足にできる水虫は趾間型、小水疱型、角質増殖型の3種類に分類されます。趾間型は、水虫で最も多い型で指の間の皮膚が白くふやけて皮がめくれ、ジュクジュクした状態になります。強い痒みを伴うのが特徴です。
小水疱型は、足裏や土踏まず、足の縁などに沿って小さな水ぶくれが多発します。夏季に悪化しやすく、強い痒みを伴います。水ぶくれが破けると、皮が剥けます。
角質増殖型は、足の裏から縁にかけての広い範囲で皮膚が厚くなり、冬の方が乾燥でひび割れなどを起こしやすくなります。痒みを伴わず、水虫だと気づかないケースも少なくありません。
爪白癬は、爪にできる水虫で、痒みは伴いませんが、爪が黄白色に変色したり、分厚くなったりします。巻爪の原因になることもあります。いずれの場合も、抗真菌薬によって治療します。抗真菌薬には塗り薬と飲み薬があり、爪白癬のように爪の中に薬の成分が届きにくい難治性のものでは内服薬も選択肢になります。
かぶれ(接触性皮膚炎)
かぶれは、特定の金属や化粧品、合成洗剤といった刺激物やアレルゲンなどの原因物質が肌の一部に触れることで引き起こされます。患者さまの多くは、皮膚に痒みを伴う赤いブツブツや腫れがみられたり、ヒリヒリとした痛みなどが生じます。かぶれがみられるときは、まず原因物質を特定しそれを取り除くことが必要です。さらに、ステロイド外用薬や抗ヒスタミンなどを使用します。
帯状疱疹
帯状疱疹の原因は、水ぼうそうのウイルスと同じ、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染です。初めて感染したときは水ぼうそうとして発症し、治った後も、ウイルスは体内の神経節に潜んでいます。普段は免疫によって抑えられているた症状は現れませんが、加齢や疲労、ストレスなどで免疫が低下すると、潜伏していたウイルスは再び活動を始めて増殖し、神経を伝って皮膚に達し、帯状疱疹として発症します。
主な症状は、ピリピリ、チクチクした痛みや皮膚の違和感から始まり、しばらくするとその部分に赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れ、神経痛のような強い痛みを伴うこともあります。発熱や頭痛、リンパ節の腫れがみられることもあります。患者さまによっては、皮疹が治った後も長期間にわたってピリピリするようなしつこい痛みが残ってしまう、帯状疱疹後神経痛がみられることもあります。治療は、早めにウイルスの増殖や痛みを抑えることが重要で、抗ウイルス薬や鎮痛薬を使用します。帯状疱疹後神経痛についてはさらに別の種類の鎮痛薬を使用します。上記のような症状がみられる場合は早めの受診をお勧めします。
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脂漏性皮膚炎
脂漏性湿疹は、皮脂が分泌しやすい部位に湿疹が発症する皮膚疾患です。乳幼児や思春期~40代頃まで幅広い年代の方にみられます。乳幼児では、皮脂の過剰な分泌によって皮脂が溜まり、顔や頭に黄色いカサカサをつけた紅斑がでることがあります。一方、思春期以降に発症するケースでは、頭皮や顔面、あるいは腋の部位などに紅斑、フケのような鱗屑がポロポロ落ちるなどの症状がみられます。治療には、抗真菌薬の外用薬やステロイド外用薬を使用します。
円形脱毛症
円形脱毛症は、ある日突然、頭にコイン大の丸い抜け毛部位が生じてしまう疾患です。脱毛は一ヶ所とは限らず、多発することもあります。また、頭全体の毛が抜けたり、頭部以外の毛が抜けたりすることもあります。原因は様々な説があり、近年では髪の毛の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生する自己免疫疾患が原因であるという説が有力です。免疫機能の異常を発生させる要因としては、疲労や感染症などの肉体的・精神的ストレスや体質的な素因があります。治療薬は複数ありますが、根治に至る治療薬はまだ確立されていません。炎症やアレルギーを抑える内服薬や外用薬を組み合わせて使用することが多いです。脱毛斑が単発で範囲の少ない場合は自然に治ることもあります。